倉敷を訪れるとあちらこちらで見かける、幾何学模様のモダンな椅子敷き。洗練されたデザインでありながら、素朴な温かさも感じます。ふかふかとして弾力のある手触りで、座っていても疲れません。
これは「倉敷ノッティング」と呼ばれる手法でつくられたもの。木綿の縦糸にウール糸の束をひとつひとつ、横一段37個の結び目×縦37段分、つまり1369個の毛束をひたすら手で結びつけて織り上げられます。結びつけるウール糸の束の色を変えていくことで様々なデザインになっていきます。
これだけつくるのにベテランでも1日1枚がやっと。初心者だと1枚仕上げるのに3日以上かかることもあるそうです。ひと目ひと目、心を込めて結んで織り上げる手仕事だからこその温かさだったのですね。
この「倉敷ノッティング」は、和・洋どちらのインテリアにも合わせることができそうです。例えば、リビングの革張りの椅子、木の素材感が生きた北欧ダイニングチェア、もちろん和室の座椅子にも。様々な暮らしの空間に馴染みます。
倉敷ノッティングは、「女性が家族のためにつくるもの」として生まれたという歴史があります。「家族」という大切な存在に笑顔と安らぎをもたらす良いものをつくりたい、それが一番純粋なものづくりの原点。その気持ちは世界共通、時を超えて私たちの心にも伝わるから、どんな暮らしの空間にも馴染むことができるのだと思います。