レクサス長良で開催されている秋の芸術祭の作品を題材に、対話型鑑賞ワークショップを行いました。
参加者のみなさまは対話型鑑賞を初めて体験する方々でしたので、作品鑑賞を始める前に、アイスブレークを挟みました。スライドに2枚、同時代に制作された日本と外国の全くテイストの違う作品を投影し、「好きな作品とその理由」を隣同士でお話いただきました。
皆さんにお話いただいた後、それぞれの作品でお一人ずつ、感想を発表いただきました。「鮮やかな紅葉の色に着目した」「部屋に飾りたい絵はどちらか考えた」といったご意見から、好みの作品や、作品への着眼点が人によって違うことが伺えました。
皆さんに作品鑑賞に慣れていただいたところで、秋の芸術祭の出品作品の対話型鑑賞に入りました。今回の作品は大画面のモニターに映される映像作品です。最初はお一人で作品をじっくりと鑑賞いただき、ご自身がどんなことを感じられたか、考えたか、考えを巡らせていただきました。
お一人ずつ話を伺っていくと、「マグマのように見える」「どろっとした感じ」「流水、川ではないか」「サラサラとした感触、流水が髪の毛のようにも見える」など、ここでも作品に抱いた印象がお一人おひとり異なることがわかりました。作品のどこからそう感じたのかファシリテーションしながら、大画面の作品の中の色々な箇所を観察していきます。
すると、後半になると映像の特徴に関するご意見もでてきました。「きっとスローモーションで流しているのだろう。本来のスピードだとかなりの濁流ではないか」「流水は動きがあるのに、周りの草木は全く動いていない。なぜだろう」など、観察するうちに見えてきた疑問や、気づきの意見をいただくことができました。
初めての鑑賞ワークショップで、発言をすること自体にハードルを感じられる方もいらっしゃったかもしれませんが、お話を聞いてみると皆さんご自身の中で感じたことがあり、それが他の方にはない新しい視点である、という場面がたくさんありました。
作品の意図や作家の思いを汲み取り解釈することも大切な鑑賞方法ではありますが、ご自身の感覚や声に耳を傾けること、素朴な疑問や着眼点は他の鑑賞者にとっても気になるポイントかもしれないこと、色々な感じとり方があり意見をシェアすることで初めてそのことを実感できること、そんな原体験として今回のワークショップが生かされていたら嬉しく思います。
ご参加頂きまして誠にありがとうございました。