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[Report] 奥能登国際芸術祭2017

名古屋から350キロメートル、能登半島の先端にある珠洲市。
ここで、奥能登国際芸術祭2017が開催されていた。
http://oku-noto.jp/

ここで出会ったのは、39組のアーティストによる、市内各地の建物を利用したインスタレーション。場所や空間全体を作品として体験する。珠洲市の風土、そしてその建物が持つ歴史や物語をアーティストの感性によって抽出され、物体、映像、音楽などを組み合わせて表現されていた。
こう書くとなんだか難しい。でも、私は、これら珠洲の風景をインスタレーションとして体験することで、その土地の風土や物語を心や体で感じることができ、心が温まったり、郷愁を感じたり、身につまされたり、そんな「自分事」の感覚を持つことができた。
もし、これらのインスタレーションがない時に同じ建物に行っても、「古いなあ」ぐらいの「他人事」の感覚しか持てなかったかも知れない。
私たちは常に、今いる空間を認識しているのだけど、そこにインスタレーションが介在するとより強く空間と繋がれるのかもしれないな、と思った。繋がることで、空間が持つ物語の力をもらうことができるのではないかと。そんな考えを巡らすことができた。
もう一つ。途中で珠洲の名所「聖域の岬」へ。日本三大パワースポットだとか(あとは、長野の分杭峠と、富士山)。「ランプの宿」がある場所、と言ったらご存知の方もいるかもしれません。
まず入り口に聖域にはあまり似つかわしくない管理施設があり、そこでガッカリしながら入場料を払う。崖の下にあるランプの宿には、水色に塗られたプールがある。ナンジャコリャ!と勝手に腹を立ててしまったが、せっかくなので岬の先端まで行くことに。
そこから見えた景色は素晴らしかった。本当に本当に素晴らしかった。ずっと広がる水平線。浅瀬のブルーと深みのグレー、岩場に打ち付ける波のホワイトで、海が澄んでいることが分かる。波の音、風の音、時折雲の切れ間から覗く白い太陽。その風景に包まれるうちに心が開放され、広くなっていく感じがした。行ってよかった。
そして、夜は故郷の富山へ。美味しい料理とお酒。夜風に当たりながら、酔っ払った友と共に城址公園を気持ちよく歩く。

動こう。訳のわかんない時代だからこそ、もっと動いて、いろんな体験をしよう。動いて色々な発見をした方が元気になれる、と改めて分かった週末でした。

橘 紀子 書き手

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